4月はあまり忙しくなかったので、会社から「セミナーなどに行って外の情報に触れるように」と御触れがでた。
新卒はGoogleのセミナーを受けにはるばる沖縄へ・・・
先輩や上司も、業務を調整して14時とかのにセミナーに行き、丁寧にメモされたドキュメントを共有してくれる・・・
自分も行かなきゃマズイな、と思い調べるも全然興味あるやつがない・・・
(SEOのセミナーにめっちゃ行きたい。2年くらいはSEOの専門性を磨きたい)
困っていると、フォロワーのさとうさん(https://twitter.com/ux_market)が何個かセミナーを紹介してくれて、その中で日程が偶然合ったセミナーに行ってきた。
今日はそのセミナーで勉強になったことをまとめておく。
◆登壇者の紹介
山口 義宏 さん
以下の本を書いた人。
ブランド・マーケティング領域の支援に特化した戦略コンサルティングファームを設立し、コンサルティングをしている。
Minimalというおしゃれなチョコの会社の社外役員。
私はチョコが好きなので、Minimalはもちろん知っている。美味しいしおしゃれ。
中村 淳一さん
P&Gでボールド、レノア、ビダルサスーン、Gilletのマーケティングを担当。
その後、日系の小売り業界→現在Facebook Japan執行役員。
実はこのイベントで初めて存じ上げたのだけど、個人的に1番この方のお話が自分にはしっくりときた。
三木アリッサさん
27歳6社目の帰国子女らしい。
アリッサさんは職人がもっと輝ける社会を作りたいらしく、
現職→USで起業→売却→職人を世界的に活躍できるビジネスの展開→つづく、、、
みたいな感じで、自分の将来を思い描いている。
私は未来の話が好きなので、アリッサさんの未来物語はもっと聞いてみたいと思った。
あと本来は司会進行の方がやることが多いが、山口さんや中村さんが話している時、しっかり相槌をして話を引き出してくれた。
▼目次
◆マーケターの一般的なキャリアについて山口さんによる解説
①年収と専門性は比例しない
山口さんはマーケターのキャリアを7つのステージで解説している。
大切なのはステージ3(特定領域の専門家)から、ステージ4(マーケティング施策の統合者)になるタイミングだ。
・専門家から統合者へ
ステージ3(特定領域の専門家)までは、商品開発、プロモーション、広告、4Pの中の1領域などの専門性を身に付ける段階だ。
ステージ1〜ステージ3まで2、3年といったところだろう。
そして特定領域の専門性が70点くらいに達したら、ステージ4(マーケティング施策の統合者)を意識する。

ステージ3(特定領域の専門家)まではマーケティングの4Pのうちの1つとか、先ほど挙げた広告なり、ブランディングなり、どこか1領域の専門性を磨けば良いのだけど、ステージ3からステージ4(マーケティング施策の統合者)に上がるには以下の3つの方向性を自分で選び取る必要がある。
- 自分より1つ上のマネジメントのの目線(=1つの商品のマーケティングの4Pの全て)を持つ
- 隣接領域の専門性を学ぶ
- 今持っている専門性を70点から100点まで掘り下げる
そしていざ、ステージ4(マーケティング施策の統合者)として、マネジメント経験を積みたい時に、自分が今勤めている会社でマネジメントのポジションが空いていなければ転職する、など合理的な判断が必要だ。
このステージ3からステージ4に上がる時、年収も上げたいのだけど、専門性に固執して他領域の勉強を怠るとか、マネジメントの目線を意識しないでいると「専門性はあるのに年収が上がりません・・・」という悩みを抱えやすくなる。
専門性の深さに年収は比例しないのだ。専門性を軸にした自分の活かし方が重要なのだろう。
・マーケティング施策の統合者とは?
ステージ4(マーケティング施策の統合者)は、複数領域の専門性を束ねる立場である。
例えば、ステージ3までは、商品開発、広告、webマーケティングなど、特定の領域の専門性を磨いていたが、ステージ4では4Pの全てを考え、決める。
もう少し具体的に例えるならば、あなたが飲料メーカーで働いていたら、ステージ3(特定領域の専門家)まではコーラのプロモーションを考えている。しかし、ステージ4(マーケティング施策の統合者)は、コーラの商品開発、金額設定、プロモーション、販売チャネルなど、網羅的に判断する立場になる。
ステージ5(ブランドマーケティング全体の責任者)はコーラだけではなく、炭酸飲料というくくりでマーケティング全体を見る立場だ。コーラだけじゃなくてジンジャエールとかソーダとか、その他の炭酸飲料のマーケティング全体を統括する。
②事業会社は数字、支援会社は専門性が評価軸になりがち
山口さんはマーケティングのコンサルティング会社や広告代理店を支援会社と表現している。
事業会社の特徴は以下である。
- 担当商品の売り上げ、利益といった数字をとにかく求められる。社内での評価はその数字が重要
- 1つの商品を売るために、他部署との折衝も多いので、バリューチェーンを横串で見ることができる
ちなみにアリッサさんは、他部署との折衝のポイントは「ここだけは譲らないぞ!」というこだわりを持つことだ、と言っていた。
一方、支援会社の特徴は下記である。
③疑問:マーケターのキャリアに「スペシャリスト」はないのか
マーケターとして年収をあげるには、どうやらまずは70点くらいまでの専門性を身につけたら、スペシャリストではなくマネジメントの方針でキャリアを積んでいく必要があるようだ。
ここで疑問なのが、「Web広告」「テレビ広告」などの専門性だけで食べていくキャリアはあまりないのかな、という点だ。
例えば、IT系のコンサルティング会社や、バリバリとコードを書くプログラマーの中には、マネジメントが苦手で一生プレイヤーがいいと言う人もいる。
そういう人はプレイヤーとして専門性をビンビンに尖らせながら、年収を上げている。
また会社にもよるが営業の名プレイヤーでマネージャーとしてではなくプレイヤーとして活躍し続けて年収を上げている人もいる。
マーケティングも手法がバラバラと出てきているので、その領域を特化して一生プレイヤーで食べていけてもおかしくないような気がするのだけど、あんまり聞かない。
マーケターは専門性を特化したプレイヤーというキャリアの積み方は現実的ではないのか?質問できる機会があればぜひ山口さんにも聞いてみたいと思った。
◆迷走しないためにキャリアの与件を決めよ
山口さんはアラサーくらいになったら「キャリアの与件」を決めて、迷走を減らそう、と言っていた。
キャリアの与件とは、
向き不向きを考慮して「やる・諦める(やらない)・避ける」を決める
ということだ。
昔、ソニーミュージックで働くとあるおじさんが、大学生だった私にこんなことを教えてくれた。
「好き・嫌い・向き・不向きで、自分のキャリアは考えなさい。
好き嫌いがわからなくても、得意なこと、向いていることだけは早く見つけて、それだけは続けなさい」と。
右下のキライだけど得意を好きで得意にはできるけど、
好きで苦手を得意にしていくのは難しい。
「好きこそものの上手なれ」という言葉があるが、それは「好き」なことが「得意なこと」だった、「好き」なことが「素養はあったこと」なのだと。
「好き」「キライ」ではなく、「向き」「不向き」でやる・やらない・避けるを決めるのは、私の周りの人生の先輩たちが口を揃えて言っていることだ。
そうすることで自分が輝ける可能性がある選択肢を絞れる。
もう1つ、興味深かったのは環境の「合う・合わない」を冷静に判断することだ。
P&Gで様々な商材のマーケティング担当を経験した中村さんは、日系の小売業界にいた時、仕事は楽しく学びはいつもあったが、日系企業はどうやら合わないぞ、と気づき、また外資に戻った。
面白いのは「楽しくて好きでも合わない(苦手な環境)というのがある」ということだ。
私は今の職場は転職して半年で、めちゃくちゃ楽しい。
それは自分の仕事も環境も、自分に合っているから楽しいのだと思い込んでいた。
仕事が合っていて楽しくても、環境が自分に合っていなくて、他の環境ならばもっと組織に貢献できる可能性もあるのだ。
どんなに楽しい職場でも、「楽しいけど合わないのだ」「いつも学びがある環境だけど自分には合っていないぞ」と冷静に割り切れるかどうかは、所属組織への貢献を考えると大事な気がした。
◆今後2年くらいは・・・
今回のセミナーは、実のところ前向きな気持ちで出席したものではなかったが、結果的に参加してよかった。
今後2年くらいはSEO・コンテンツマーケティングの専門性を深めつつ、せっかく前職で予算も潤沢にある大企業の経営層とお仕事をさせてもらったことがあるので、Webに偏らない「全体最適」を考えられるマーケターを目指してがんばりたい。
SEOやコンテンツマーケティングはオワコンと言われるが、どの専門性もトレンドがあるので、いずれ終わりは来る。
ポイントは、その専門知識を他の領域でどう応用するか?だと思ってる。
いろんな情報が溢れているので、情報収集は続けつつ、自分の頭で考えて決断した道を正解にしていこう。