マーケティング

「いいものを作る」もマーケティングになる

私は「激レアさん」というテレビ番組が大好きだ。

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いろんな分野で、「とってもレアな経験をした人たち」がゲストとして出演し、
弘中アナとオードリー若林を中心に彼らの半生を明らかにしていくものだ。

例えば、

  • 少年院で反省文を書きすぎて、敏腕新聞記者になった人
  • 駅弁のパートだったけど、弁当を売りすぎて営業部長まで上り詰めた人
  • ホームレスだったけど、フレアバーテンダー(ジャグリングしながらバーテンする)で世界一になった人

など、個性ある面々が登場している。

激レアさん(画像:激レアさんを連れてきた。ホームページから引用)

そんな中、先日登場したのは

打楽器が好きすぎて、自分でトライアングルを作ったら、神の音色で、世界中で評判になった人だ。

彼が作るトライアングルは、世界の名だたる音楽団から発注があり、現在2年待ちになっている。

通常のトライアングルは安いものだと数千円程度だ。
しかし、このトライアングルは10万円。

それでも名だたる音楽家たちが、「僕なら10万払う」というほどだ。

今回の主人公、キタヤマさんは子供の頃から「ものを叩いた時に鳴る音」が大好きだった。
どのくらい好きかというと、

  • 学校にあるロッカーを内側からも外側からも叩きまくる
  • 中学生の頃、吹奏楽部に入り、フルート担当になったのにわざわざ部長に交渉して打楽器担当にしてもらう
  • 自転車の「チリンチリン」をシンバルに変える

くらい「ものを叩いて出る音」「打楽器」を愛していた。

激レアさんを連れてきた。トライアングル画像は激レアさんを連れてきた。HPから引用

そんな彼は、より良い音色を求めて、自分で金属を町工場から集め、トライアングル制作に励む。

素人が個人で作った製品は、どうして世界ブランドになったのだろう?

その背景を考えると、実は自然と、しっかり「営業が不要になる」(マーケティング)仕組みができていた。

▼まずは身近な人に応援してもらう

キタヤマさんのトライアングルの製作過程は当然ながら非公開だ。

彼は町工場を自分の足で回り、金属を集め、金属を打ち、自分の納得のいく音色が出るまで金属を加工し続けた。

やがて、納得のいく音色がなるトライアングルができると、それをネックレスにした

激レアさんを連れてきた。トライアングルを作る男画像は激レアさんを連れてきた。HPから引用

謎すぎる。しかし、これが良かったのだ。

最初、首からネックレスを下げていると、友人は、
「え、そのネックレス何?笑」みたいになるが、音を聞かせてみると
「すげ!!!これ本当にトライアングル?!」と好評なのだ。

つまり、「自分自身や周囲の人が自信を持ってオススメできる品質」だったのである。

自社の製品に自信を持てることは、営業マンにとってもマーケターにとっても重要だ。
世の中にはいろんな製品があふれていて、どんなにその製品が良くても、営業マンが頑張っても、マーケターが工夫をしても、全然売れない事もある。

だけど、製品、サービスさえ自信が持てるものならば、その自信がよりどころとなる。

▼たった1回の飛び込み営業

神々しい音色を放つそのトライアングル、いくつか作ると、彼はJPC(ジャパンパーカッションセンターという、打楽器の聖地と言われる打楽器販売店)にトライアングルを何個も持ち込んで、販売員に「このお店に、楽器を置いてもらうことが夢だったんです!」と交渉した。

そして、自分のトライアングルの音色を販売員たちに聞かせたのである。

すると、すぐに販売員たちに「専売したい」と言わしめたのだ。

モノがいいから、そのモノをちゃんと触らせれば、わかる人にはわかってしまう、という訳である。

▼そして世界へ

日本には世界の音楽団が年に何度か公演に訪れる。

そして、その公演の合間に、音楽団員は日本の有名打楽器店ということで、JPCの店舗を訪れる。

JPCのHPから画像を引用

そこで、音楽団の団員はキタヤマさんのトライアングルの音色を聞いて、

「うわああああああ!!!なんだこの音色!!!!!」となる。

そして、名だたる世界の音楽団から、トライアングルの発注が殺到することになった。

キタヤマさんはWebマーケティングも、ビラ配りも、テレアポもしていない。

いい商品を作り、それをターゲットの手に届くところに置いているだけだ。

でもそれで十分に知るべき人には届いている。

良い商品、サービスを作り、それを置くべきところに置いておくと
自然と評判が広まり、ちゃんと売れていくという訳である。

このマーケティング手法が効果的なのは、楽器というターゲットが限定的であり、専門的であり、良品質なものにはきちんと対価を払う業界だからかもしれない。

しかし、普段の日常生活の中でも、
素晴らしい品質の商品やサービスならば、
営業マンの営業のモチベーションになるし、
マーケターの工夫の源泉になるし、
採用も自信を持って人を採用したいと思えるだろう。

私はWebマーケティングの仕事をしているのだけど、生意気ながらサービスそのものやビジネスモデルが気になる事も多い。

「売る事」を考えるのも重要だ。

しかし、「この製品やサービスは本当に人を幸せにするものなのか?」「誰を幸せにできるものなのか?」この問は常に持ち続けながら仕事をしたいと思った。