マーケティング

「弊社サービスを全く知らない潜在層を獲得したい」は本音か

去年の12月、担当しているお客さんに「弊社サービスを全く知らない、20代の新規を獲得したい」と相談された。

その会社はメインのユーザー層が40代〜50代の富裕層である。

私の仕事は企業のWebマーケティング支援で、簡単に言えばSEOに強いサイトの設計や、コンテンツマーケティングの企画提案、分析、ユーザー導線を考えたりする。

本当は、お客さんの業界名を出せた方が話が具体的になるのだけど、
出さない方がいい気がするので、似ている業界に当てはめて話を進めていく。

今回のお客様に似ている業界は「保険」だと思う。

保険はいろんなサービスに付帯でついてくる。

今回のお客さんを保険屋さんとしたら、この保険屋さん(A保険としよう)は40代〜50代に人気の商品を売る大企業のサービスに付帯して、保険を提供している。

 

お客さんは20代の新規を獲得したいと言っていたので、20代が保険に入ることを検討するのはどんなときか考えてみた。(親に勧められる場合を除く)

20代の若者が保険を検討するときはどんな瞬間だろう。
2年間、海外留学していて今もよく海外に行く妹によると、海外旅行保険はチケットを買うときに合わせ買いできるので、それで済むそうだ。

また、アマゾンプライムはサービスの1つで保険を提供している。

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Amazonの保険サービスの説明画面

グータンヌーボ、バチェラーなど20代後半の人にウケそうな番組も多いので、20代ならAmazonで保険サービスを見ている人も多いかもしれない。
それにAmazonポイントに還元されるなら、Amazonから保険に入った方がお得だろう。

一方、40代50代の富裕層なら、健康が心配とか、結婚のタイミングで保険のことを考えたり、車を購入するときに一緒に自動車保険を考えたりするだろう。

  • サービスがあちこちに溢れているが、付帯形式で提供されている
  • 「何と付帯形式なのか」「どんな還元があるのかで狙えるユーザーの年齢層などが大きく変わってくる

これがこの業界の特徴なのだと思う。

Amazonプライムの付帯形式なら、Amazonポイントで還元されるし、車の付帯サービスなら初回手数料無料や走行距離に応じて支払い額が変わる、などで還元されるイメージだ。

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ここまで考えてみると、私はお客さんの「弊社サービスを全く知らない潜在層を獲得したい」「『A保険』で指名検索してくる人ではなくて、ニーズはあるけど弊社を知らない人を獲得したい」という発言は、実は本音ではないのではないかと思えてきた。

会員数を増やしたくて、新規を獲得したくて、それで今は全然お客さんになっていない20代を対象に広げたのではないだろうか。

 

 

私は「A保険の名前は知らないが、何か保険に入りたいニーズがある人」ではなく『A保険』で指名検索してくる人を狙うのが良いと思う。

指名検索をして調べるということは、A保険が数ある保険の中で検討されているということだ。

検討者が10人いて、3人しか申し込みしてこなかったところを、5人、6人に増やす作戦がいいと思う。

 

お客さんは自社メディアでコラム記事をどんどん、ゴールデンウィークあたりから公開する。

それであれば、「保険 選び方」「保険 おすすめ」などのキーワードを狙ったり、このようなテーマの記事はやめた方がいいと思う。

なぜなら、これらの記事は「A保険どころか、まだ保険を知らない人」が検索するキーワードだからだ。

「A保険 価格」「A保険 おすすめ」などの単語で検索してくる人を狙って、実際にA保険に入会したらどんな生活が待っているのか、想起してもらえるコンテンツを置くのが良いと思う。

 

実はこうしたお客さんは結構多い。
新規を獲得したいから、今までとは全く違う年齢層の人たちをお客さんにしたい!というニーズだ。

しかし、これは本当に売り上げや利益に繋がるのだろうか。
全く繋がらないとは言わないけど、「サービスをすでに知っているけど、どこで買おうかな。A店にあったよな」みたいな感じで認知してくれている人に、「A店でこのサービスを買うと、こんなお得があるんだ!」と実際の買った後のことを想起してもらえるようにする方が、投資対効果が高いのではないかと考える。

  • サービスがどこもかしこも似ている
  • (保険のように付帯サービスに依存するなどの理由で)ユーザーは固定化されている

こうした業界の場合は、むやみやたらに潜在層獲得をうたうよりも、
認知してくれている人を新規顧客に変えて行く戦略が良いだろう。