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『具体と抽象』はツイッタラーにお勧めしたい名著だった

会社の先輩にすすめられて、『具体と抽象』という本を読みました。

これが人生を謳歌する人間と、できない理由やしょうもない方法論・個別具体的な対応しかできない応用の効かない人間の違いを明確に示していて、非常に勉強になりました。

今、話題の前田祐二さんの著書『メモの魔力』も抽象化をキーワードとして挙げています。前田さんご自身も『具体と抽象』を勧めていて、『メモの魔力』でメモ術やメモの効果を学ぶなら、前田さんが勧めている『具体と抽象』も合わせて読んだ方がいいと思います。

https://twitter.com/dzero_since2013/mediaツイートから引用

抽象化とはなにか

抽象化とは特徴を俯瞰して見つけること

「抽象化」とは、人間ならばだれもが常日頃から行っている思考です。
たとえば、「サバ」「まぐろ」「鯉」これらをまとめて、「魚」と呼ぶことができます。
エラがある、死ぬと目が濁る、などの特徴をまとめて「魚」とグルーピングしています。これが「抽象化」の考え方です。

これができると、その特徴を応用することができるようになります。

抽象化する習慣がないとアホなまま、どんどんできる人と差が開く

ここからは抽象化できる人間と、具体でしかものを考えられない人間が、
人生でどれだけ差が開くのか、細かい例を出して考えてみます。

①未来予測の精度があがる

たとえば、抽象化できる人間は歴史のとある出来事を通して、それの特徴をつかみ(抽象化)、「きっとこれは現代でいえば、これと似ているから次はこんなことが起こるだろう」と未来を推測できるようになります。

②同じ失敗をしなくなる

他人の失敗を見てその原因の主な特徴を見つけ(抽象化)、自分の失敗を未然に防ぐ・あるいは同じ失敗が起きないようにすることができます。

③本質に近づく

ビジネスの現場でいわれる、「顧客の声を聴け」「顧客の声を聴くな」、
「リーダーの意見はぶれてはいけない」「リーダーたるもの臨機応変な対応が必要」といった、一見対立した意見は実はただの抽象度の違いです。
たとえば顧客が商品に対して「こんな色のラインナップがほしい」「自分でカスタマイズできる機能がほしい」という声を寄せてきたとしましょう。
これら1つ1つに対応するのが抽象化する脳のない、具体の人間です。
一方で、抽象化するスキルがあると、これらの要望はいったい、本質的には何を望んでいるのかを考えます。そして、「顧客は自分だけの、自分が使いやすい製品を望んでいるのではないか」という本質の仮説を立てることができます。

④頭の悪い批判をしなくなる

ツイッターでは主語を大きくすると炎上しがちです。これも抽象度の低い世界しか知らない人がやってしまいます。抽象度が低い、具体でしかものを考えられない人は、抽象度の高い本質的な議論を理解できないので、「そんなの僕には当てはまりません」とか「じゃあこういう場合どうするんですか」という的外れな指摘をしてしまいます。
たとえば以前、「私が知っているモテる男の人は、中華、イタリアン、和食を予約しておいて、女性にどれが食べたいか聞いてくれる」という趣旨のツイートが大炎上していました。

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https://twitter.com/Yuika1231さんのツイートから引用

これは具体で見れば「もし女性が和食を選んだら、中華やイタリアンのお店はドタキャンされる。お店に迷惑かけるなんて!😾」というわけです。

私も正直そう思っていました。そして同じように考える人は多く、このツイートは大炎上していました。

しかし、『具体と抽象』を読んでから、これを「抽象」の視点で考えてみたらどうなるだろうか、と思い、考えてみました。
おそらく、抽象の視点で考えると、「女性を喜ばせるために下準備をきちんとしている男性がモテるのだな」と理解できたのではないか、と思います。
(たしかにお店の人に迷惑をかけるのはよくない。2週間前に予約して、お店側が「キャンセルは3日前までにお願いします」と言ってきたのなら、3日前にキャンセルすればお店に迷惑も掛からないでしょう)

つまり、今回はツイッターの大勢の人が具体の視点で考えてしまい、書かれてもいないドタキャンを連想してしまったのだと思います。
一方で、これを瞬時に抽象の視点で理解した人は「こいつらアホだな」と思っていたのではないでしょうか。

私も含めてツイッターには、なぜか「具体」で考えてしまう人が多いように思います。

⑤抽象化できる人は具体を理解できるが、具体しか理解できない人は抽象の世界を理解できない

これが最も恐ろしい。

これのせいで、抽象化できる人間とできない人間の差はどんどん開きます。
たとえば、抽象化できる人間には、いろんな物事の細かい事象の特徴が良く見えていてパターン化されています。そして、本質に迫った理解をしているので、より本質的で創造的な判断や、思考ができます。

一方で、具体でしか考えられない人間はすべてのことが個別具体的に見えているので、1つ1つの課題に時間をかけて全部向き合おうとします。簡単に言えば、抽象化できる人間にくらべて応用の効かない人間になっているのです。

よって、抽象の世界で生きられる人間は本質の世界も、小手先の具体の世界も理解できます。しかし具体の世界でしか生きられない人は、抽象の世界が理解できないのでいつまでも本質には近づきません。

『具体と抽象』から引用

変化の多い時代では「抽象化スキル」が重要

キャリアについて考えるときも、この抽象化のスキルは鍵になっています。

会社のCMOのおじさんは、世の中の1つ1つのマーケティング手法について精通しているのでしょうか。経理部部長のおじさんは、世界中の会計ルールをすべて理解していたり、経理関係のソフトについて詳しいのでしょうか。システム部のおじさんは、この世のすべてのプログラミング言語を使いこなせるのでしょうか。

そんなことはおそらくないはずです。だって、時間がかかりすぎるから。

マーケティングだけで考えてみても、

  • テレビ広告
  • Web広告
  • SEO
  • コンテンツマーケティング
  • 店頭のマーケティング

など、さまざまな手法があり、さらにどんどん新しい手法が生まれてきます。これらのすべてにおいて、高い専門性を持つにはいったい何年かかるのでしょう?

もし、新しい手法が生まれてくるたびに、その手法を学びなおしていては、たくさんの専門性は身につきますが、いつまでも意思決定する立場や、会社にとっての重要なポジションにはつけないのではないでしょうか。(勉強し続けるのは大事)

抽象化する能力が高い人は、SEOに精通してから、「SEOのこの部分はテレビ広告のこの部分と似ているから、こういう施策が実は効果的なんじゃないか」とか、「店頭のマーケティングと、新しいマーケティング手法のこの部分の考え方は似ているから、こうするとうまくいくんじゃないか」と考えられます。

つまり、抽象化したあと、具体策のアイデアが湧きます。

その習慣があると、1つ1つの専門性を何年もかけて何個も習得するより、いくつもの専門性を既に持っている専門性と関連付けながら習得していくことができるので、効率的です。

世の中には下らない具体策があふれています。
変化の多い現代は、くだらない具体策より、本質的で応用が利く抽象策の方が効果的です。

だからこそ、抽象的な思考と、具体的な方法論を行き来する習慣を身に着けていきたいです。

具体と抽象
『具体と抽象』から引用